幼少の頃から書道の師範だった母親から書を学び、その頃から文字を超えた線というものに惹かれていました。街を歩いていても、目にするものに線を意識し、そこに溢れる線や色が変幻自在に混じりあいながらも、それぞれの調和を保っている様子を感動しながら眺めていました。 美術史においても、西洋が対象を「面」で捉える文化なのに対して、日本を含む東洋は「線」の文化であり、空気や時間の流れのような目に見えないものにさえ用いられることに着目しています。そのような奥深い線の文化や芸術の文脈を継承し、私の芸術表現を『NO BORDER LINE』と称し、線のさらなる表現の可能性を追求しています。 私の作品では、今を生きる女性の一瞬の命の輝きを多様性のある線と輝く色で表現しています。その線や色は、ひとりひとりの個性の上に成り立ち、そこには互いの考えや違いを認め、線や色によって分けられるものではなく、だからこそ多くのものが成り立っています。 今世界では国家間の対立が激しくなっていますが、国境は国と国とを分断するための線ではなく、まさしく『NO BORDER LINE』として、互いの個性を認め、共存していくことで世界中の人々が尊重しあえることを願っています。